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宿泊施設の撮影はAIでここまで変わる|モデル手配なしで「滞在シーン」を再現する新手法

宿泊施設のAIでモデル手配なしで撮影カットを再現する活用事例画像

近年、宿泊業界でもAIの活用が急速に進んでいます。
その中でも注目されているのが、AI画像生成を活用した宿泊施設の撮影手法です。

宿泊施設の魅力を伝えるためには、客室や料理、温泉などの設備写真だけでなく
実際の滞在シーンを想起させるモデル写真の起用も重要な要素です。

しかし実際には

 ・モデル手配の費用
 ・版権管理
 ・撮影スケジュール調整

などの理由から、モデルを活用した撮影は多くの宿泊施設にとってハードルが高いのが現状です。そこで近年、宿泊施設のマーケティング現場で注目されているのがAI画像生成です。
本記事ではAI画像生成を用いたモデル画像の活用方法について詳しく解説します。

目次

宿泊施設の撮影で起きがちな「モデル問題」──費用・版権・スケジュールの壁

モデル写真が必要な理由(滞在イメージの可視化)

宿泊施設のプロモーションでは、単に設備を見せるだけでなく「滞在体験」を想像させる写真が重要です。
実際にファミリーやカップルがターゲットになる旅館の場合は、旅館やホテルが想定する楽しみ方をイメージしやすい画像があると効果的です。

例えば

 ・温泉でくつろぐシーン
 ・客室で過ごすカップル
 ・家族での団らん

こうした人物を含めた写真は、宿泊体験をより具体的に伝える役割を持っています。
宿力でも、こうした旅情感を表現するためにモデル写真を活用した予約ページの構築を行っています。
実際の事例を上げてみますのでそれを元に考えてみましょう。

課題:モデル手配・人件費・付帯スタッフのコスト

モデル撮影にはいくつかの課題があります。

費用

ご契約施設様の撮影で宿力が過去にモデル手配を行った際に発生した相場が以下となります。

 ・客室で過ごすカップル
 ・モデル手配サイト手数料:約1万円

一般的なモデル事務所やフリーランスの方を起用するとこのようなところが相場になります。
遠方からお越しの場合は交通費などもかかることがあります。
反面、カット数での縛りは無いことは多いので、いろんなシーンを撮影して使うことができます。
また撮影規模によっては以下の費用も追加されます。

 ・カメラマン
 ・ヘアメイク
 ・スタイリスト

ブライダル関係であればこのあたりは必至になり、モデル費用より多くなる可能性があります。
ホテルや旅館における婚礼関係の撮影はあまり何度もできるものではありません。

版権・ライセンス

モデル写真に多くつきまとう問題がライセンス費用です。これは契約書で取り決められる事が多く、しっかりとした事務所ほど取り決めは綿密です。使用期間などがあり更新の度にライセンスや版権使用料金をお支払いします。
とくに以下には注意してください。

 ・使用期間
 ・利用媒体
 ・二次利用

交渉するポイントとても使用期間やパンフレットなどの二次利用が可能かどうかは聞くべきです。
長期利用には追加費用が発生する場合もあります。
永久に使えるという場合は、永続利用券の買取といった条件になることが多いです。

マネジメント項目

モデル撮影ではマネジメントをする必要があります。大きいモデル会社などが入っている場合はマネージャーがやってくれることがありますが、フリーランスや小さい会社の場合はホテルや旅館側でその調整をおこなわなければなりません。
特に以下のスケジュール調整には苦慮します

 ・モデルさんの拘束時間
 ・宿泊施設側の部屋や会場の利用時間
 ・カメラマンの拘束時間
 ・撮影カットの天候(夕方や夜など)

など多くの要素を調整する必要があり、1回撮影するだけでもマーケティング担当者もかなりのマネジメント業務をこなさなければなりません。天候もかかわるので希望通りの撮影できないケースも少なくありません

そこで、今回ご紹介している「AI画像生成」の実施が重要となってくるのです。

AI画像生成とは?宿泊業で注目される理由

AI画像生成は、テキスト指示から人物写真を自動生成できる技術。インバウンド・ファミリー・ペット同伴など、撮影が困難なシーンを自然に再現できるため、宿泊業のマーケティングで急速に活用が広がっています。

AI画像生成とは…?基本の仕組み

AI画像生成とは、大量の画像データを学習したAIがテキスト指示(プロンプト)から画像を生成する技術です。
例えば
「客室でくつろぐ女性」と入力すると、そのイメージに近い画像をAIが生成します。

宿泊施設の撮影でAIが注目される背景

AI画像生成は、これまで費用やモデルのスケジュール問題で実現できなかった訴求写真を作ることを可能にします。

 ①インバウンド向けモデル
 ②ファミリー利用シーン
 ③ペット同伴の滞在

など、従来の撮影では手配が難しかったシーンの再現について次項目では詳しく解説いたします。

AIで代替できる「3つの人物シーン」

AI画像生成は、これまで費用やスケジュールの問題で実現が難しかった訴求写真を制作できる新しい手法として注目されています。ここでは、宿泊施設のプロモーションで実際に活用されている代表的な3つの事例を紹介します。

①事例:インバウンド向けモデル生成

課題

インバウンド向けの宿泊施設では、海外旅行者が滞在するイメージ写真が重要になります。
しかし実際の撮影では

 ・欧米系モデルの手配
 ・交通費
 ・スケジュール調整

などのコストや準備が必要になることや実際に海外モデルの数も少ないので選定にも時間がかかります。そのため地方の宿泊施設では、インバウンド向けの人物写真を撮影すること自体が難しいケースも少なくありません。

AIによる解決

GeminiのNanobananaProなどのAI画像生成を活用することで、客室写真に海外旅行者の人物イメージを自然に追加することができます。ChatGTPなども画像生成はできますが、Geminiが画像生成には優れています。
適切なプロンプトを入れて指示することで画像を生成して海外旅行者が「自分が宿泊する姿」を想像しやすくなるという効果があります。

AI生成イメージ

 ・和室客室
 ・欧米カップル
 ・旅行中のリラックスした雰囲気

【生成画像例】

こちらの画像は対象の旅館の画像を読み込ませた上で、インバウンド向けのターゲットプロモーションを指定したプロンプトで作成した画像です。画像作成は簡単ですがターゲット旅行者を想起させる人物表現が重要になります。AIモデル生成は、その表現を低コストで実現できる手段となります。

事例: 子連れファミリー生成

課題

ファミリー層向けの宿泊施設では、家族旅行のイメージ写真が重要になります。
しかし実際の撮影では

 ・子供の機嫌
 ・撮影時間
 ・スケジュール調整

などの理由から、理想的な写真を撮影することが難しい場合があります。
また子どもモデルの撮影は

 ・学校のスケジュール
 ・保護者の同意
 ・安全管理

などの理由で準備が大きくなります。とくに宿泊施設が忙しくない平日にスケジュールを組むことが学校などの関係で難しいことがあり、撮影難易度が跳ね上がります。幼児等の場合は保護者による補助も必要となるのでうまく撮影できるかが当日にならないとわからないです。

AIによる解決

これらの問題はAI画像生成を活用することで、客室写真に家族旅行のシーンを追加することが可能になります。
さきほどのインバウンドと同じように生成を行う際に撮影したいイメージをAIにプロンプトとして読み込みをおこないます。

プロンプトで指示したいアウトプット

 ・洋室客室
 ・家族3人
 ・団らんシーン

【生成画像例

実際にこれは宿力が支援している施設様の画像を読み込ませた上で作成を行ったものです。26年現在のAIであれば軽い指示だけでも作成をすることは可能です。
もっと細部までこだわって作成したい場合は実際に人物に動きをつくってもらった上でその人物を子供に変更してというような指示を送るとうまくいきます。

夏休み付近になると各OTAでも以下のような属性のプロモーション設定ができるようになります。

 ・ファミリー旅行
 ・三世代旅行
 ・子供歓迎の宿

このような属性のあるファミリー系の宿や時期などのプラン画像には最適な画像が作成できます。

事例: ペットモデル生成

課題

ペット同伴可能な宿泊施設では、ペットと一緒に過ごす写真が重要になります。
しかしペット撮影は子供よりも難易度の高い撮影になることが多いです。
理由としては

 ・動物なのでコントロールができない
 ・動物の機嫌で撮影時間が長くなる
 ・特定の犬種を手配しなくてはならない

上記の理由で撮影の難易度が高く、撮影写真を持っている施設が少ないという現状でした。
これらの問題もAIは解決してくれます。

AIによる解決

AIこのような動物シーン画像生成も得意な領域です。特に犬や猫といった画像は情報としてはありふれているので、犬や猫を指定して画像を作成するのはAIでやるのがオススメです。

プロンプトで指示したいアウトプット

 ・ドックランがあるホテル
 ・小型犬が楽しそうにしている
 ・飼い主と一緒に宿泊している

【生成画像例】

こちらが宿力の支援施設の画像を用いて、画像作成を行った状態です。小型犬などありふれている犬種の場合は得意なことがわかります。大型犬や特殊な犬種の場合は難しいことが多いので注意しましょう。
ぬいぐるみなどを置いて撮影して、それをAIで置き換えるのも有効的です。

こちらも各種OTAのプロモーションに使える画像となっております。
じゃらんや楽天といったOTAでは期間をわけてペット宿の特集やプロモーションを行います。

 ・ペットの宿特集
 ・那須高原やコテージエリアのペット訴求特集
 ・ドックランの訴求画像

などの要素にも使うことができます。いかがでしたでしょうか、3つの事例にあわせて説明させていただきましたが、こちらの画像を作成するのにも普段であれば企画から構想まで数日かかってしまうのに、画像完成までが1日でできてしまいます。
そのためこれからの宿泊施設のマーケティングはAIを使わない手はありません。

AI画像生成が撮影コスト・業務負担をどう削減するか

①従来のモデル撮影にかかる主なコスト

前項のとおりモデル撮影には費用が掛かってしまうことをお伝えしました。
もう一度かかる費用や時間的コストの項目ををまとめてみました。

 ・モデルの費用
 ・モデルのマネジメントコスト
 ・交通費
 ・撮影のマネジメントコスト
 ・版権管理の費用

これらの要素を大幅に削減できるのがAIでの画像生成です。コスト関係のことを画像でまとめてみました。
時間も費用も大幅に削減できることがわかります。

撮影スケジュールの柔軟化

AIがあるからといって撮影をしなくていいかというとそうではないです。AIに読み込ませるための画像撮影は必ず必要です。それでもAIで作成できる画像の撮影はしなくていいので、スケジュールはかんり柔軟になります。これは大きな進歩です。

 ・忘れていたカットなど追加撮影不要
 ・撮り逃し防止
 ・季節プロモーション画像生成

などの要素には強く、天候を変えたり、季節を変更することはすぐにできるので、四季折々で撮影をすることが少なくなってきます。そのためマーケティングのスピードも大きく向上します。

AIモデル画像が予約に与える影響

AIモデル画像が予約行動に与える影響

AI画像生成の活用は、単に撮影コストや制作工数を削減するだけではありません。
実際の宿泊施設の運用では、予約行動にもポジティブな影響が確認されています。

例えばですが

 ・客室でくつろぐ旅行者の様子
 ・家族旅行の団らんシーン
 ・カップルの滞在イメージ

といった「宿泊体験を想起させる写真」が増えることで、ユーザーが自分の滞在をイメージしやすくなりますが、今まではこういった画像がなかったので、家族向けプラン画像にはただの食事の画像などをつかっていたとおもいます。
それぞれ細かく家族向けの写真などをプランに設定した場合

 ・OTAページのアクセス数増加
 ・ページ閲覧数(PV)の向上
 ・コンバージョン率(CVR)の改善
 ・SNSでの閲覧数

といった成果につながった事例も確認されています。
ここからは、AIモデル画像の導入によってどのような変化が起きたのかを具体的に紹介します。

OTAアクセス数の増加

宿泊施設のOTAのTOPページにAI画像を導入した施設ではアクセス数が増加した事例が宿力では多数報告されています。ターゲットに即した画像の設定に有効性がわかるデータとなります。

上記を達成する施設も出てきています。
エリアのターゲットの目的が同じような場合はAIによるモデル画像が友好的です。(某テーマパークなどの近くなどといえばわかりやすいでしょうか)

転換率(CVR)の向上

またAIにおける画像の改善にはCVRの向上も宿力のデータでは認められています。
通常アクセスが増加すると予約率でもある転換率(CVR)は低くなる傾向にあります。

しかしながら、AI画像導入施設ではCVRも上昇することがありました

自然なAIモデル画像を生成するプロンプト設計

AI画像生成は、前頁で述べてきたように撮影コストの削減、予約行動への影響、制作スピードの向上など多くのメリットがあり上手く活用していくことが重要となります。

実際にAIに打ち込んでいる「具体的なプロンプト」を使っての作成指示についても本稿では解説していきます。
プロンプトのコントロールはAIでの作成においては非常に重要な要素です。

①AIモデル画像を自然に生成するプロンプトの工夫

AI画像生成では、どのような指示を出すかによって生成される画像の品質が大きく変わります。
これを「要件定義」といって、AIに指示を出すときの基盤となります。
宿泊施設のAI画像では、次のような要件を具体的に指定することが重要です。

場所の要件指定(客室・温泉など)

まずは「どこで過ごしているシーンなのか」を明確に指定します。
宿泊施設の写真では、客室・温泉・館内などの空間を具体的に伝えることが重要です。

 ・畳の和室客室でくつろぐ旅行者のシーン
 ・露天風呂でゆったりと温泉を楽しむ旅行者窓から
 ・山の景色が見える旅館の客室でくつろぐ宿泊客

このように場所の定義を具体的に指定することで、宿泊施設の空間を自然に表現した画像が生成されやすくなります。ちなみにこれは元々の宿泊施設の画像を読み込ませて使う場合を想定しています。
つまり、実際に生成したい宿泊施設の画像+要件定義のはいったプロンプトを読み込ませましょう。
通常の和室の写真を貼り付けて場所の要件定義をしなくても良いかというとそうではなく、画像のなにが重要なのかを最初にAIにわかってもらいましょう。

人物設定(国籍・家族構成など)

次に、どのような人物が滞在しているのかを設定します。
ターゲット顧客に合わせて人物像を設定することで、プロモーション効果が高まります。

 ・欧米のカップルが旅館の客室でくつろいでいる様子
 ・小さな子どもと両親が和室で団らんしている家族旅行のシーン
 ・小型犬と一緒に旅館の客室で過ごしている旅行者

このように人物の属性や関係性を指定することで、ターゲット層に合わせたイメージ写真を作ることができます。

雰囲気(旅行・リラックスなど)

最後に、そのシーンの雰囲気や感情を指定します。宿泊施設の写真では「旅行の楽しさ」や「くつろぎ」といった雰囲気が重要になります

 ・温かい照明の中でリラックスして過ごす旅行者
 ・旅行の特別感を感じる落ち着いた旅館の滞在シーン
 ・休日のゆったりとした時間を過ごしている家族旅行の雰囲気

このように雰囲気を指定することで、実際に宿泊しているかのような自然な写真表現を作ることができます。

AI画像生成を活用する際の注意点

AI画像生成は非常に便利なツールですが、宿泊施設のプロモーションで使用する際には注意点もあります。
AIを制御するプロンプトも入れることが重要です。

 ・実際には存在しない設備を作らない
 ・実物と大きく異なる表現をしない
 ・誤解を招く画像を掲載しない

以上の要素をコントロールする指示をプロンプトにいれましょう。
例えば「ロビーにピアノはありません」などの指示をいれておくとピアノを置くような画像を作成しません。
宿泊施設が難しいのは、必ず予約商品となるところであり、予約前の情報は齟齬があると実際にお客様とのクレームにつながる可能性があります。

そのためAI画像はあくまでも実際の設備やサービスとの整合性を保つことが重要です。

まとめ|AIが変える宿泊施設の撮影とマーケティング

前頁までで述べてきたように
宿泊施設の撮影において、これまで多くの施設が直面してきたのが「モデル撮影のハードル」です。

 ・モデル費用
 ・版権管理
 ・撮影スケジュール調整

といった課題により、人物を含めた滞在シーンの撮影は簡単ではありませんでした。
しかし近年、AI画像生成の登場によって、こうした課題を解決する新しい撮影手法が生まれています。

AIを活用することで「これまで撮影が難しかった人物写真を低コストかつ短時間」で制作することが可能になりました。
さらに、AIモデル画像の導入によって

 ・OTAページのアクセス数増加
 ・ページ閲覧数(PV)の向上
 ・コンバージョン率(CVR)の改善

といったマーケティング成果につながる事例も確認されています。
ただし、AI画像を扱う際には
実際の設備やサービスと大きく異なる表現にならないよう、実写写真とAI画像を適切に使い分けることが重要です。

実写写真によるセールスポイントのリアリティと、AI画像によるイメージ訴求の表現。
この2つを組み合わせることで、宿泊施設のプロモーションはより強い訴求力を持つようになります。
AI画像生成は、単なる画像制作ツールではなく
宿泊施設の撮影・マーケティング手法を変える新しい選択肢になりつつあります。

今後の宿泊施設のプロモーションでは、
AIと実写を組み合わせたビジュアル戦略が、より重要になっていくでしょう。

written
高間 威行(Takama Takamichi) Takama Takamichi
シニアコンサルタント
仙台・東京のホテルで約20年勤務。1997年「ホテルの窓口」時代より宿泊予約のWeb運用に携わる。宿力では、宿泊予約の「伸ばし方」を設計し、OTA・自社サイトを横断した売上最大化の運用支援を行っている。

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