
近年、宿泊施設では「自社予約強化」や「自社予約比率を高めたい」という声を聞く機会が増えています。
背景には、OTA手数料負担の増加や、利益率改善への意識、リピーター強化などがあります。
一方で現在は、InstagramやGoogle検索、OTA口コミなど、ユーザーの予約行動そのものも大きく変化しています。
その中で近年は、「自社予約を増やせば利益が増える」「OTA依存から脱却すべき」という
考え方だけでは整理できない時代になってきています。
実際には、OTAには「宿を見つけてもらう役割」があり
自社予約には「予約しやすさ」「リピーターを強化しやすい」といった特徴があります。
つまり現在は、OTAか、自社かという二択ではなく
それぞれをどう活用するかが重要になっています。
自社予約強化とは、OTAを減らすことではなく、OTA・公式サイト・Google・SNSを含めた販売導線全体を最適化することです。
また近年は、予約エンジンそのものよりも次に挙げるような事柄を含めた
「販売設計全体」を重視する施設も増えています。
- 予約導線
- Google検索
- SNS導線
- 会員設計
- リピーター施策
そこで本記事では、自社予約強化をテーマに
「現在のOTAと自社予約の役割や本当に改善したいこと」「2026年現在の宿泊施設の実践例」
「宿力支援施設で導入されている予約エンジン傾向」などを整理しながら
「これからの自社予約の考え方」について解説していきます。
自社予約比率は重要な指標ですが、それだけを追うのではなく、OTA・公式サイト・SNS・Googleを含めた販売設計全体で判断することが重要です。
【自社予約強化の基本理解】宿泊施設の自社予約を増やせば売上は伸びるのか?
近年、宿泊業界では「自社予約比率を高めたい」という声を聞く機会が増えています。
特に、「OTA手数料を減らしたい」「利益率を改善したい」「リピーターを増やしたい」といった理由から
自社予約強化に取り組む施設も増えてきました。
実際、自社予約比率が高い施設に対して、「利益率が高そう」「OTA依存していない」「ブランド力が強い」という
イメージを持つ経営者の方も多いかと思います。
一方で、自社予約については宿泊業界の中でも誤解されやすい部分があります。
それが、「自社予約を強化すれば売上が伸びる」という考え方です。
しかし実際には、自社予約エンジンを導入しただけで急激に売上や稼働率が上がるわけではありません。
この章ではまず、「自社予約強化とは何を目的に行うものなのか」を整理していきます。
基本理解①:自社予約強化は「集客施策」ではなく予約率改善の施策
まず整理しておきたいのは、「正確には、自社予約は「新しい認知を生む施策」ではなく、興味を持ったユーザーを予約完了まで導く施策です。」ということです。
例えば、月間100件しか公式サイトへの流入がない施設が、予約エンジンだけを変更したとしても
予約数が急激に増えることは基本的にありません。
なぜなら、そもそも「宿を見つけてもらえていない状態」だからです。
この場合、本来優先すべきなのは
OTAでの露出強化やInstagram運用、Google検索対策、写真改善、プラン改善など
「宿を見つけてもらう施策」になります。
宿を見つけてもらうためには、まずOTA上で選ばれる状態を作ることが重要です。
宿力が人気宿を調査した結果から見えた予約につながる写真の特徴や画像戦略については
こちらの記事で詳しく解説しています。
あわせて読みたい
宿泊予約サイト(OTA)は写真で決まる|人気宿の調査から見えた「予約を伸ばす画像戦略」とは
つまり、自社予約エンジンそのものが、新しい旅行需要を生み出すわけではありません。
ここを整理せずに、「自社予約を強化すれば売上が伸びる」と考えてしまうと
本来改善すべきポイントを見誤ってしまいます。
基本理解②:集客と自社予約の「予約率改善」は役割が違う
宿泊施設経営では、集客と「予約率改善」は分けて考える必要があります。
例えば、InstagramやGoogle検索で宿を知ったユーザーが、公式サイトへアクセスしたとします
しかしその先で、次のような状態に陥った場合、途中で離脱されやすくなります。
- 予約ボタンが分かりづらい
- スマートフォンで見づらい
- 予約完了まで何度もページ遷移が必要
- 入力項目が多い
特に現在は、スマートフォン経由の予約比率が非常に高くなっており
「面倒」と感じた瞬間に別サイトへ移動されるケースも少なくありません。
つまり、「宿を見つけてもらうこと」と「予約完了まで導くこと」は、そもそも役割が違うのです。
近年の自社予約強化とは、「予約したいと思ったユーザーをきちんと予約完了まで導けるか」という
「予約率改善の側面が強い施策」なのです。
基本理解③:OTA手数料削減だけでは自社予約の利益は増えない

自社予約について語られる際、特に多いのが、「OTA手数料が減るから利益が増える」という考え方です。
もちろん、OTA手数料負担が減ること自体は、施設側にとってメリットです。
しかし実際には、そこまで単純な話ではありません。
例えば、自社予約を強化する場合でも、次のようなコストが発生するのです。
- Google広告費
- Google Hotel Ads費用
- SNS広告費
- カード決済手数料
- 予約エンジン利用料
特に高単価旅館では、宿泊単価が高い分、クレジットカード決済比率も高くなりやすく
カード手数料負担も無視できません。
実際に宿泊施設向けの決済サービス(例:弊社取材の予約エンジン利用時)では、
国内カードでおおむね1.8〜3.6%程度、海外カードでは2.8〜4.1%程度の決済手数料が発生します。
なお、決済手数料は契約条件や利用サービスによって異なるため、実際の運用では各サービスの最新条件を確認する必要があります。
例えば、1泊10万円の宿泊予約がカード決済された場合、
決済手数料だけでも1,800円〜4,100円程度のコストとなります。
さらに、決済代行会社利用料やトランザクション費用、広告費、予約エンジン利用料なども発生するため
自社予約になったからといって、その分がすべて利益になるわけではありません。
一方で、OTAにも送客力や比較検討の場としての役割があります。
そのため、「OTAか自社予約か」という二択で考えるのではなく、
どの販路でどれだけ利益が残るのかという視点で見ることが重要になります。
OTA手数料は、基本手数料だけでなく、ポイント負担や事前決済、広告・クーポン費用まで含めて見る必要があります。主要OTAの実質コストについては、こちらの記事でも詳しく整理しています。
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【OTA手数料調査2025】主要予約サイトの“見えづらいコスト”を徹底比較!
自社予約強化の基本理解まとめ:重要なのは自社予約比率ではなく目的整理
ここまで説明してきた通り、自社予約強化とは、「売上を上げるための魔法の施策」ではありません。
重要なのは、「予約しやすい状態を作ること」です。
その先には、リピーター化やブランド形成、利益構造改善といった目的があります。
つまり、「自社予約比率を上げること」自体が目的なのではなく
「なぜ自社予約を強化するのかを整理すること」が重要なのです。
この考え方を持たないまま、予約エンジン導入だけを進めてしまうと
「思ったほど成果が出ない」という状態にもなりやすくなります。
だからこそまずは、「自社予約強化とは何のために行うのか」を整理することが、非常に重要なのです。
いわゆるダイレクト予約を増やす取り組みも、単に予約エンジンを導入するだけでは成果につながりません。
【OTAと自社予約の役割理解】宿泊施設は販路ごとの違いをどう活かすべきか
ここまで説明してきた通り、自社予約強化とは、単純に「売上を伸ばす施策」というわけではありません。
では現在、OTAと自社予約はそれぞれどのような役割を担っているのでしょうか。
近年は、「OTA依存から脱却したい」という言葉を聞く機会も増えています。
一方で実際には、OTA経由で宿を知るユーザーは今も非常に多く
宿泊業界においてOTAは依然として大きな集客力を持っています。
だからこそ現在は、OTAを減らすという考え方ではなく
OTAと自社予約をどう役割分担するかが重要になっています。
この章では、現在の宿泊予約におけるOTAと自社予約、それぞれの役割について整理していきます。
役割理解①:OTAは新規顧客に宿を見つけてもらうための販路
現在、多くのユーザーは、最初から公式サイトへ訪問しているわけではありません。
例えば旅行先を探す際も
「じゃらんや楽天トラベルでエリア検索をしたり、口コミを比較したりする」など
まずOTAから宿探しを始めるケースは非常に多くなっています。
特にOTAは、次のような特徴があり
まだ宿が決まっていないユーザーとの相性が非常に強い販路です。
- 比較検討しやすい
- 口コミが見やすい
- 価格を比較しやすい
- エリア検索しやすい
つまりOTAは「比較予約」に強い販路とも言えます。
そのため現在でも、新規顧客獲得や認知獲得において、OTAは非常に重要な役割を担っています。
特に近年は、InstagramやGoogle検索を経由しながらも
最終的にOTAで口コミを確認するユーザーも多く
OTAが「比較検討の場」として機能しているケースも増えています。
つまり現在は、「OTAか、自社か」という二択ではなく
「OTAで見つけてもらう」こと自体が重要になっているのです。
役割理解②:自社予約は「指名予約」やリピーター化につなげやすい

一方で、自社予約にはOTAとは違った役割があります。
それが「比較されにくい予約」につなげやすいという点です。
例えば、OTAでは同じエリアの宿が一覧表示され、価格や口コミ、写真などを横並びで比較されます。
そのため、ユーザーは「どこが安いか」「どこが条件に合うか」という視点で比較しやすくなります。
一方で公式サイトまで訪問しているユーザーは、すでにある程度その宿に興味を持っているケースが多くなります。
例えば
- Instagramで世界観に惹かれた
- Google検索で施設名を調べた
- 口コミを見て気になった
- リピーターとして再訪したい
など、「その宿を目的に動いている状態」になっているケースも少なくありません。
つまり自社予約は「指名予約」との相性が強い販路なのです。
そのため現在は、価格競争だけではなく
「滞在イメージ」「会員特典」「限定プラン」などを通じて
この宿だから予約したいという動機をどう作るかが重要になっています。
役割理解③:OTAから公式サイトへ流れる予約導線も増えている
現在の宿泊予約は、ひとつのサイトだけで完結しているわけではありません。
例えば最近では
Instagramで宿を知る⇒Googleで検索⇒OTAで口コミを見る⇒公式サイトを見る
という流れも珍しくなくなっています。
つまり現在は、「複数チャネルを横断しながら予約する時代」になっています。
そのため現在は、OTAと自社予約を分断して考えるのではなく
「予約導線全体として設計」する施設も増えています。
例えば、OTAで興味を持ってもらい、公式サイトでブランドや滞在価値を伝える。
あるいは、Google検索やSNSから公式サイトへ流しながら、リピーター予約につなげる。
このように現在は、「予約までの流れ全体をどう設計するか」が重要になっています。
特に近年は、写真・口コミ・世界観の統一感を重視する施設も増えており
「OTA」「公式サイト」「Instagram」を別々に運用するのではなく
「宿のブランド体験」としてつなげる考え方も強くなっています。
役割理解まとめ:重要なのはOTAと自社予約の最適な役割分担
ここまで説明してきた通り、OTAと自社予約には、それぞれ異なる役割があります。
OTAは、宿を見つけてもらうための重要な販路です。
一方で自社予約は、リピーター化やブランド形成、利益構造改善などを設計しやすい特徴があります。
つまり現在は、OTAを減らすのではなく
「OTAも活用しながら、自社予約をどう強化するか」が重要になっています。
そのため現在は、「自社予約比率」だけを追うのではなく
「どこで認知を取るのか」「どこで比較されるのか」「どこで予約につなげるのか」まで含めて
販売導線全体を考える施設も増えているのです。
【自社予約強化の目的理解】宿泊施設が本当に改善すべき販売導線とは
ここまで説明してきた通り、自社予約強化とは、単純に「OTAを減らす施策」ではありません。
では現在、自社予約強化によって宿泊施設は何を改善しようとしているのでしょうか。
以前は、「OTA手数料削減」という視点で語られることも多かった自社予約ですが
近年はそれだけではなく「予約しやすさ」「リピーター化」「利益構造改善」など
より販売設計に近い考え方へ変化してきています。
特に現在は、宿泊予約そのものが複雑化しており
予約を取るだけではなく、「どう比較され、どう選ばれるか」まで含めて設計する施設も増えています。
この章では、現在の宿泊施設が、自社予約強化によって何を改善しようとしているのかを整理していきます。
目的理解①:公式サイトの予約しやすさを改善する施設が増えている
現在、多くの宿泊施設で重視されているのが、「予約しやすさの改善」です。
特に近年は、スマートフォン予約比率の上昇によって、「途中離脱」が起きやすくなっています。

例えば、次のような状態では「予約したい」と思ったユーザーでも途中で離脱してしまうケースがあります。
- 予約ボタンが分かりづらい
- ページ遷移が多い
- 入力項目が多い
- ページの読み込み速度が遅い
特に現在のユーザーは、比較しながら予約することに慣れています。
そのため、「少し面倒」と感じた瞬間に、OTAや別施設へ戻ってしまうケースも少なくありません。
つまり現在の自社予約強化とは、新しいユーザーを集めるというより、
予約したいユーザーを取りこぼさないという意味合いが強くなっています。
そのため近年は
「スマホ最適化」「予約ステップ短縮」「GoogleログインやLINEログイン」「予約導線改善」などを
重視する施設も増えています。
目的理解②:価格競争ではなく自社予約で指名予約を増やしたい
現在、多くの宿泊施設が悩んでいるのが、「価格比較され続ける状態」です。
特にOTAでは、同じエリアの施設が一覧で表示されるため
「どこが安いか」「どこが条件に合うか」という比較が起きやすくなります。
もちろんOTAは重要な販路ですが、一方で近年は
「価格だけで比較されない状態を作りたい」と考える施設も増えています。
例えば次のような「その宿だから泊まりたいを作る動き」も増えています。
- Instagramで世界観を伝える
- Google検索でブランドを知ってもらう
- 公式サイトで限定プランを打ち出す
つまり現在は、比較予約だけではなく、「指名予約」をどう増やすかが重要になっているのです。
現在は、新規集客だけでは利益が残りづらくなっている施設も少なくありません。
目的理解③:自社予約を活用してリピーター化を重視する施設が増えている
OTA手数料、広告費、カード決済手数料など、集客コストが上昇している中で
一度来ていただいたお客様との関係性を重視する施設も増えています。
そのため近年は
「LINE登録」「会員制度」「季節案内」「次回予約特典」などを活用しながら
再来館につなげる施設も増えています。
特に高単価旅館では、新規集客だけではなく
「何度来ていただけるかが利益構造に大きく影響するケース」もあります。
つまり現在の自社予約強化とは
予約を取ること”だけではなく、「次回も思い出してもらうこと」まで含めた設計になってきているのです。
目的理解まとめ:自社予約強化は販売設計全体で考える時代へ
ここまで説明してきた通り、現在の自社予約強化は、予約エンジン導入だけの話ではありません。
重要なのは、どこで宿を知ってもらい、どこで比較され、どこで予約につなげるのかです。
特に現在は、
「Instagramで宿を知り、Googleで検索し、OTAで口コミを見て、公式サイトを確認する」というように
複数チャネルを横断しながら予約する行動が一般化しています。
そのため現在は、「OTA」「公式サイト」「SNS」「Google」を別々に考えるのではなく、
宿の販売導線全体として考える施設も増えています。
自社予約強化とは、単なる販路施策ではありません。
「どこで宿を知ってもらい、どう比較され、どう予約につなげるか」まで含めて
設計する考え方へ変化してきているのです。
【自社予約強化の実践】宿泊施設が取り組む予約導線・公式特典・SNS活用
ここまで説明してきた通り現在の自社予約強化とは、OTAを減らすことではなく
「予約しやすい状態を作ること、指名予約を増やすこと」に近い考え方へ変化しています。
では実際に、現在の宿泊施設はどのような取り組みを行っているのでしょうか。
以前は、「公式サイト限定価格」や「最安値保証」といった施策が中心になるケースも多くありました。
しかし近年は、それだけでは差別化しづらくなっています。
特に現在は、価格だけではなく「予約体験や宿の世界観そのもの」が予約に影響する時代になっています。
そのため現在は
- 予約導線
- 公式サイト設計
- Google導線
- SNS活用
- リピーター導線
まで含めて、自社予約を強化する施設も増えています。
この章では、2026年現在の宿泊施設が、どのような考え方で自社予約を強化しているのかを整理していきます。
実践①:スマホ予約と予約導線を改善する施設が増えている
現在、多くの施設が最初に見直しているのが「予約完了までの導線」です。
特に近年は、スマートフォン予約比率が非常に高くなっており
「使いづらい」と感じた時点で離脱されやすくなっています。
例えば、「予約完了まで何ページも移動する」「入力項目が多い」「空室検索が分かりづらい」といった状態では
予約したい気持ちが途中で切れてしまうケースがあります。
そのため現在は、次の点を重視する施設も増えています。
- 予約ステップ短縮
- スマホ最適化
- SNSログイン対応
- 表示速度改善
特に近年は、予約のしやすさそのものが、予約率に直結する時代になっています。
つまり現在の自社予約強化とは、集客数を増やすだけではなく
「予約完了率を改善する」意味合いも非常に強くなっているのです。
実践②:公式サイト限定特典で自社予約する理由を作る
以前は、「公式サイト最安値」だけでも一定の差別化になっていました。
しかし現在は、OTAポイントやクーポン施策も強くなっており
価格だけでは自社予約へ誘導しづらくなっています。
そのため近年は、「公式サイトから予約する意味」そのものを改めて設計する施設も増えています。
例えば最近では、次のように、滞在体験そのものに価値を持たせる施設も増えています。
| 特典内容 | ユーザーメリット | 最近増えている理由 |
|---|---|---|
| レイトチェックアウト | 滞在時間をゆっくり楽しめる | 滞在価値重視の流れが強まっている |
| 貸切風呂優先予約 | 人気時間帯を事前確保できる | 体験の確約ニーズが増加 |
| ラウンジ利用 | 到着後・湯上がりの満足度向上 | 館内体験を重視する施設が増加 |
| 客室アップグレード | 特別感・優越感を感じやすい | 価格より満足度訴求へ変化 |
| 季節限定サービス | 季節感・限定感を感じられる | リピーター化との相性が良い |
| 公式限定料理 | OTAとの差別化を作りやすい | 食体験で差別化する施設が増加 |
| 連泊特典 | 滞在そのものの満足度向上 | 滞在型旅行需要が増えている |
特に高単価旅館では、安いから予約するよりも
「この体験があるから公式で予約したい」を重視する流れも強くなっています。
以前は、「公式サイト最安値」「割引」が中心となるケースも多く見られたのに対し
近年は、「優先予約や事前確約」を公式サイト特典として打ち出す施設も増えています。
価格ではなく、予約できる体験そのものに価値を持たせ、重きを置く傾向にあります。
| 特典 | ユーザーが得られる価値 |
|---|---|
| 貸切風呂事前予約 | 人気体験を事前に確保できる |
| 色浴衣または作務衣無料貸出 | 温泉旅館らしい滞在体験をより楽しめる |
| 公式限定プラン | 他サイトにはない宿泊プランを選べる |
| 連泊時の夕食内容変更対応 | 同じ宿でも異なる食体験を楽しめる |
特に現在は、宿泊前から滞在体験が始まっているという考え方も増えており
「人気体験を確保できる」「優先的に予約でき、限定サービスを受けられる」といった
特別感や優先感を重視する施設も増えています。
つまり現在は、価格訴求だけではなく、
その宿らしい体験価値をどう作るかが、自社予約強化でも重要になっているのです。
実践③:Google・SNS・OTAをつなげて自社予約導線を設計する

現在の宿泊予約は、ひとつのサイトだけで完結する時代ではなくなっています。
Instagramで宿を知り、Googleで検索し、OTAで口コミを確認したうえで、公式サイトを見る。
こうした複数チャネルを横断する予約行動も一般化しています。
その中でもInstagramは、宿を知る最初のきっかけになるケースも多く
「この宿に泊まってみたい」という指名予約を生み出す重要な役割を担っています。
宿力が調査した人気宿のInstagram活用事例や、フォロワー数だけではない運用のポイントについては
こちらの記事で詳しく解説しています。
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売れてる宿はInstagramも強い?人気旅館・ホテルの運用傾向を徹底調査【フォロワーランキング分析】
そのため近年は、「OTA」「公式サイト」「Instagram」「Google」を別々に運用するのではなく
予約導線全体として設計する施設も増えています。
例えば最近では、次のように、予約前に見られる情報全体を整える施設も増えています。
- Instagram投稿と公式サイトの世界観を統一する
- Googleマップ写真を定期更新する
- OTAと公式サイトで写真品質を揃える
- Google口コミ返信を強化する
- Googleビジネスプロフィールを整備する
特に近年は、Google検索そのものが予約導線の一部になっており
「Googleマップ写真」「Google口コミ」「検索時の見え方」まで含めて整備する施設も増えています。
つまり現在は、どのサイトで予約されるかだけではなく
予約前にどう見られているかまで含めた設計が重要になっているのです。
実践まとめ:自社予約は次回予約・リピーター導線まで設計する
現在は、新規集客だけでは利益が残りづらくなっている施設も少なくありません。
広告費、OTA手数料、カード手数料などが上昇する中で
一度来ていただいたお客様との関係性を重視する施設も増えています。
そのため最近は、LINE登録や会員制度、メルマガ、季節案内、次回予約特典などを活用しながら
再来館につなげる施設も増えています。
| 施策 | 内容 | 最近増えている理由 |
|---|---|---|
| LINE登録 | 空室配信・限定案内・クーポン配布などを行う | メールより開封率が高く 再接触しやすい |
| 会員制度 | 会員限定プランや先行予約を用意する | 特別感や優先感を作りやすい |
| メルマガ | 季節情報や新プランを定期配信する | 再来館のきっかけを作りやすい |
| 季節案内 | 桜・紅葉・蟹・河豚など季節需要を案内 | 「また行きたい」を 思い出してもらいやすい |
| 次回予約特典 | チェックアウト時に次回特典を提案する | 滞在満足度が高い瞬間に 再予約へつなげやすい |
特に最近は「一度来て終わり」ではなく、宿泊後も関係性を継続するという考え方が強くなっています。
そのため現在は、予約を取るだけではなく、次回も選ばれるまで含めた販売設計が重要になってきているのです。
【予約エンジン導入傾向調査】宿泊施設ではどの自社予約エンジンが選ばれているのか
ここまで、自社予約強化の考え方や、現在の宿泊施設が行っている実践について整理してきました。
一方で実際の現場では
「どの予約エンジンを導入すべきか」「他施設はどのようなエンジンを使っているのか」
を気にする施設も少なくありません。
そこでここでは、宿力が支援する約200施設のデータをもとに、自社予約エンジンの導入傾向について整理します。
なお、今回の内容は宿力支援施設における傾向分析であり、市場全体のシェア調査ではありません。
また、施設規模やターゲット、販売戦略によって適したエンジンは異なります。
そのため現在は「どの予約エンジンが一番良いか」というより
自社の販売設計に合っているかという視点で選定する施設が増えています。
調査結果:宿力支援施設では「予約番」「R-with」などの自社予約エンジン導入が多い
宿力が支援する約200施設のデータを見ると
「予約番」の導入比率が最も高く、次いで「R-with」が続く結果となりました。

特に「予約番」は、旅館・ホテル業界で長年導入されている施設も多く
- 予約導線の分かりやすさ
- プラン訴求力
- スマホ最適化
- アップセル導線
などを理由に導入されているケースも多く見られます。
また、「R-with」や「じゃらんホームページダイレクト」など
OTA系サービスと連携しやすいエンジンも一定比率を占めています。
これは、自社予約を強化したい一方で
運用負荷やコストも抑えたいという施設側の考え方が背景にあるケースも少なくありません。
一方で近年は、「tripla」や「ダイレクトイン」のように
- Google連携
- LINE連携
- 多言語対応
- CRM導線
など、販売導線全体を重視するエンジンを導入する施設も増えてきています。
つまり現在は、「どの予約エンジンが優れているか」だけではなく
施設が何を重視するかによって選ばれるエンジンも変化しているのです。
特徴まとめ:予約エンジンは販売設計に合わせて選ぶことが重要
導入されている予約エンジンを見ると、それぞれ強みや特徴には違いがあります。
現在は、「どの予約エンジンが一番良いか」というより
自社の販売設計に合っているかを重視する施設が増えています。
例えば、予約導線の分かりやすさを重視する施設もあれば
インバウンド対応や多言語対応を重視する施設、LINE連携や会員導線を重視する施設もあります。
特に近年は、予約を取ることだけではなく予約前後の導線まで含めて設計する施設が増えており
予約エンジンにも求められる役割が変化してきています。
| エンジン | 特徴 | 強み | 向いている施設傾向 |
|---|---|---|---|
| 予約番 | デザイン自由度が高く、プラン・画像訴求が強い | スマホ最適化・最短3ステップ予約・アップセル導線 | 幅広い旅館・ホテル/公式サイト強化 |
| tripla | AIチャット・多言語対応など導線全体を重視 | インバウンド対応・LINE連携・CRM導線 | 都市型ホテル/インバウンド比率高め |
| ダイレクトイン | シンプル導線と高速表示を重視 | SNSログイン・CVR改善・Google連携 | 会員導線強化/リピーター重視施設 |
※宿力支援施設での導入傾向をもとに整理
※詳細機能は各公式HP参照
【まとめ】重要なのは自社予約比率ではなく「販売設計」
ここまで説明してきた通り、自社予約強化とは
「OTAを減らすこと」「自社予約比率を上げること」そのものではありません。
現在の宿泊予約は、ひとつのサイトだけで完結する時代ではなくなっています。
Instagramで宿を知り、Googleで検索し、OTAで口コミを確認し、公式サイトを見ながら予約する。
こうした流れが当たり前になっている今
どこで予約されたかだけを切り取って考えること自体が難しくなっています。
だからこそ現在は、「OTAか、自社か」という二択ではなく、それぞれをどう活用するかが重要になっています。
OTAは宿を見つけてもらうための重要な販路であり
自社予約は予約しやすさやリピーター化、利益構造改善などを設計しやすい特徴があります。
つまり現在は、どちらを増やすかではなく、どう組み合わせるかの時代になっているのです。
また近年は、「価格が安いから予約する」だけではなく
「この宿だから泊まりたい」で選ばれる施設も増えてきました。
そのため現在は、予約エンジン単体ではなく
公式サイト、Google、SNS、OTAなどを含めた販売導線全体をどう設計するかが重要になっています。
特にこれからは、予約を取るだけではなく
次回も思い出して予約してもらうことまで含めた戦略設計が、さらに重要になっていくのではないでしょうか。
自社予約強化とは、単なる販路強化ではありません。選ばれ続ける宿づくりそのものなのかもしれません。