
本記事は、宿力が過去に開催したウェビナー内容を記事化した「ウェビナーアーカイブ記事」です。

本記事でご紹介するウェビナーでは
宿力の松本・尾崎・アシスタントスタッフの合計3名が登壇し、海外営業をテーマにお話ししました。
尾崎からは実際に台湾の旅行会社を訪問した現地レポートを
松本・アシスタントからは海外営業を進める際の考え方や旅行会社との付き合い方をお伝えしました。
そして「海外営業は本当に必要なのか?」「どのような宿が向いているのか?」といった
宿泊施設から寄せられる率直な疑問についてお伝えしました。
近年、インバウンド需要の回復に伴い、海外集客への関心を高める宿泊施設が増えています。
一方で、「海外営業に興味はあるが何から始めればよいか分からない」「小さな旅館には関係ないのではないか」と
感じている施設も少なくありません。
本記事では台湾市場をひとつの事例として
宿泊施設が海外営業を考える際に知っておきたい市場の特徴や旅行会社との付き合い方、
そして営業を進める際のポイントを、ウェビナーの内容をもとに分かりやすくご紹介します。
【海外現地調査】なぜ宿力は台湾の旅行会社を訪問したのか
インバウンド需要が回復する中、多くの宿泊施設が海外集客への関心を高めています。
一方で、海外集客と聞くと、まずOTAを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
実際に近年は、Booking.comやAgodaなどの海外OTAを活用することで
多くの宿泊施設が海外からの予約を獲得しています。
しかし、海外からの送客ルートはOTAだけではありません。
旅行会社による募集ツアーや団体旅行、企業のインセンティブ旅行など
旅行会社が重要な役割を担う市場も数多く存在しています。
今回宿力では、そうしたOTAだけでは見えない市場の実態を知るために、実際に台湾の旅行会社を訪問しました。
また、海外営業については「難しそう」「大手ホテルしかできない」といったイメージを持たれがちですが
本当にそうなのかを現地で確かめたいという思いもありました。
まずは今回の訪問の目的についてご紹介します。
【現地調査の理由①】海外OTAだけでは見えない旅行会社市場を知るため
現在、多くの宿泊施設にとって海外OTAは重要な販売チャネルになっています。
実際にインバウンド需要の回復とともに、海外OTA経由の予約比率が高まっている施設も少なくありません。
しかし、海外旅行市場全体を見ると、旅行会社を通じた送客は今も大きな存在感を持っています。
特に募集型ツアーや団体旅行、企業の報奨旅行などは、旅行会社が中心となって企画・販売しています。
また、旅行会社は単に宿泊施設を手配するだけではありません。
地域の観光地や交通手段を含めて旅行商品を造成し、その中で宿泊施設を選定しています。
つまり、OTAではなかなか届かない顧客層へアプローチできる可能性があるということです。
海外営業を考える際、OTAだけを見ていては市場全体を理解することはできません。
だからこそ、実際に現地の旅行会社と話をし、どのようなニーズがあるのかを知ることが重要だと考えました。
【現地調査の理由②】インバウンド営業で台湾市場を調査先に選んだ理由
海外市場には台湾以外にも、中国、韓国、香港、シンガポール、タイ、欧米など様々な国や地域があります。
その中で今回台湾を訪問先として選んだ理由は、日本との親和性の高さにあります。
台湾は長年にわたり訪日旅行市場の中心的存在であり、日本旅行のリピーターも非常に多い国です。
実際に台湾の旅行会社の方々とお話ししていても、日本旅行に対する関心の高さを強く感じました。
また、温泉や和食、日本文化への理解も深く、日本の旅館や地方観光地との相性も良い市場です。
さらに、初めて海外営業を検討する宿泊施設にとっても、比較的取り組みやすい市場だと言えます。
もちろん、海外営業を始める際に必ず台湾から始める必要はありません。
しかし、海外営業の考え方や旅行会社との付き合い方を学ぶ上で
台湾市場は非常に分かりやすい事例になると感じています。

【尾崎の現地レポート】台湾旅行会社への訪問で見えた「海外営業の可能性」
今回の現地調査では、宿力の尾崎が実際に台湾の旅行会社を訪問し、現地で商談や情報交換を行いました。
また今回のウェビナーでは、台湾の現地と日本をオンラインでつなぎながら
尾崎がリアルタイムで現地の様子をレポートする形で進行しました。
現地の旅行会社がどのような宿泊施設を求めているのか。
日本の旅館やホテルに対してどのような印象を持っているのか。
そして海外営業にはどのような可能性があるのか。
実際に現地で見て、聞いて、感じた内容を
その場で日本側にいる松本・アシスタントとも共有しながらお届けしました。
海外営業では、次のような不安を感じる宿泊施設も多いのではないでしょうか。
- 「海外の旅行会社との接点がない」
- 「大手ホテルしか相手にされないのではないか」
- 「言葉の壁がありそう」
実際に現地へ行く前は、私自身も同じような印象を持っていました。
しかし現地で複数の旅行会社を訪問する中で、そのイメージは大きく変わることになります。
ここでは、実際に台湾を訪問して感じたことをご紹介します。
【尾崎の現地レポート①】台湾の旅行会社は想像以上にウェルカムだった
今回の訪問でまず驚いたのが、旅行会社の皆さまの反応でした。
正直なところ、訪問前は少し身構えていました。
海外の旅行会社へ直接営業に行く機会は多くありません。
そのため
「突然訪問して話を聞いてもらえるのだろうか」
「日本の地方旅館の話に興味を持ってもらえるのだろうか」という不安もありました。
しかし、実際に訪問してみるとその印象は大きく変わりました。
訪問した旅行会社の担当者の方々は非常に丁寧に対応してくださり
日本の宿泊施設についても積極的に話を聞いてくださいました。
特に印象的だったのは、旅行会社側も新しい宿泊施設との出会いを求めているということです。
宿泊施設側からすると、「営業をする側」という意識で訪問します。
しかし実際には旅行会社側も
「新しい提案先はないか」「他社が扱っていない施設はないか」と常に探しています。
現地で話をしていても、施設の規模よりも
「どんな魅力があるのか」「どんな体験ができるのか」という部分に興味を持っていただく場面が多くありました。
海外営業という言葉だけを聞くとハードルが高く感じますが、実際に現地へ行ってみると
日本の宿泊施設を歓迎してくれる旅行会社も多いことを実感しました。

【尾崎の現地レポート②】小規模旅館やマイナーな宿にもチャンスがある
今回の訪問で最も印象に残ったことの一つが
「有名施設だけが求められているわけではない」ということでした。
日本側からすると、海外旅行会社は有名旅館や大型ホテルばかりを探しているように感じます。
しかし実際に旅行会社の担当者と話をしていると、そのイメージとは少し異なる声を聞くことができました。
むしろ、「まだ知られていない宿」「今まで扱ったことがない宿」「地域ならではの魅力を持つ宿」への
関心も高く感じました。
台湾市場には訪日旅行のリピーターも多く
東京・大阪・京都といった定番ルートを何度も訪れている旅行者も少なくありません。
そのため旅行会社としても、「次はどんな場所を提案できるか」を常に探しています。
そうした中で、地方旅館や小規模施設が新しい提案先として求められるケースもあります。
今回の訪問を通じて感じたのは
「客室数が少ないから難しい」「知名度がないから難しい」と最初から判断する必要はないということです。
むしろ、自館ならではの魅力を整理し、それを必要としている旅行会社と出会うことができれば
十分にチャンスがある市場だと感じました。
【尾崎の現地レポート:まとめ】海外営業は「まず行ってみる」ことが大切
今回台湾を訪問して改めて感じたのは、現地へ行かなければ分からないことが非常に多いということです。
事前に資料を集めたり、インターネットで調べたりすることはできます。
しかし実際に現地へ行くと、旅行会社ごとの雰囲気や考え方の違いが見えてきます。
また、どのようなお客様を扱っているのか。どのような旅行商品を販売しているのか。
どのような宿泊施設を探しているのか。といったことも、直接会って話をすることで初めて見えてきます。
今回訪問した旅行会社も、それぞれ得意分野や顧客層が異なっていました。
一口に「台湾の旅行会社」と言っても、決して一括りにはできません。
だからこそ、実際に会って話をすることに大きな価値があります。
海外営業は、特別な取り組みのように感じますが
今回の訪問を通じて感じたのは、まず市場を知るために動いてみることの大切さでした。
実際に現地へ足を運んだからこそ見えたことがあり
そこで得た気付きが、その後の営業戦略や市場理解にもつながっています。
海外営業を検討している施設にとっても、「まずは現地を知ることが最初の一歩」になるのではないでしょうか。

【海外営業の基礎知識】宿泊施設がまず理解したい旅行会社との付き合い方
前章では、尾崎が実際に台湾の旅行会社を訪問して感じたことをご紹介しました。
現地で話をしてみると、日本の宿泊施設に対する関心は想像以上に高く
小規模旅館や地方の宿泊施設にも十分な可能性があることが見えてきました。
一方で、尾崎の現地レポートを受けて、ウェビナーの中では次のような疑問点も挙がっていました。
- 「台湾の旅行会社と言っても、どこも同じなのだろうか」
- 「海外営業をする場合、実際には誰と関係を作れば良いのだろうか」
- 「ランドオペレーターとはどのような役割を担っているのだろうか」
海外営業という言葉はよく耳にするものの
その商流や旅行会社の仕組みについて詳しく理解している宿泊施設は決して多くありません。
しかし実際には、こうした仕組みを理解することが、自館に合った営業先を見つける第一歩になります。
そこでここからは、尾崎が現地で見てきた内容も踏まえながら
海外営業を考える上で知っておきたい旅行会社との付き合い方について整理していきます。
【海外営業への挑戦/知識編】台湾には数多くの旅行会社が存在する
海外営業を考える際、多くの宿泊施設が最初に抱くのが
「どの旅行会社へ営業すれば良いのか分からない」という悩みです。
実際、今回のウェビナーでも台湾市場の話題になった際
「台湾にはどれくらい旅行会社があるのか」という話が挙がりました。
台湾には4,000社を超える旅行会社が存在していると言われています。
もちろん、そのすべてが訪日旅行を積極的に取り扱っているわけではありません。
しかし、この数字から見えてくるのは、台湾市場の大きさと旅行需要の多様さです。
例えば、団体旅行を得意とする会社。富裕層向け旅行を得意とする会社。
個人旅行やオーダーメイド旅行を中心に扱う会社。若年層向けの商品を販売する会社。
それぞれ得意分野が異なります。
つまり、「台湾へ営業する」という考え方ではなく、
「台湾のどの旅行会社へ営業するのか」という視点が重要になります。
実際に尾崎が現地で訪問した旅行会社も、それぞれ取り扱う商品や顧客層が異なっていました。
海外営業では、一つの市場を一括りに考えてしまいがちです。
しかし実際には、その市場の中にも様々な旅行会社が存在しており
自館と相性の良いパートナーを探していくことが重要になります。
まずは、「台湾市場」ではなく、「台湾市場の中のどの旅行会社か」という視点を持つことが
海外営業の第一歩と言えるでしょう。
【海外営業への挑戦/知識編】 旅行会社ごとに顧客層や得意分野は異なる
旅行会社を選ぶ際に重要なのが、顧客層の違いです。
一口に旅行会社と言っても、取り扱う商品やターゲット層は大きく異なります。
例えば、若年層向けの旅行を多く扱う会社であれば、価格や自由度が重視される傾向があります。
近年では若い世代を中心に、旅行会社を利用せず
OTAやSNS、AI検索などを活用して旅行先を決めるケースも増えています。
そのため、若年層をターゲットとする旅行会社では、従来の団体旅行とは異なる商品造成が求められます。
一方で富裕層向けの商品を扱う旅行会社では
「客室の質・食事の内容・温泉や文化体験・プライベート感」といった部分が重視されます。
また団体旅行を得意とする会社もあれば、個人旅行やオーダーメイド旅行を中心とする会社もあります。
つまり、重要なのは、「旅行会社へ営業する」ではなく
「自館の魅力を求める顧客を持つ旅行会社へ営業する」という考え方です。
例えば露天風呂付客室を中心とした高価格帯旅館と、大型団体向けホテルでは相性の良い旅行会社も異なります。
まずは自館の特徴を整理し、その魅力を必要としている旅行会社を探していくことが重要になります。
【海外営業の基礎知識】旅行会社とランドオペレーターの役割を理解する
海外営業を進める中で、必ずと言っていいほど耳にするのが「ランドオペレーター」という存在です。
しかし、宿泊施設側ではその役割を正しく理解できていないケースも少なくありません。
ランドオペレーターとは、現地での手配業務を担う会社のことです。
旅行会社が旅行商品を販売し、その旅行を実際に運営するための宿泊施設や観光施設
交通機関などの手配をランドオペレーターが担当します。
つまり、「旅行会社=販売」「ランドオペレーター=現地手配」という役割分担です。

ただし、この商流は国によって大きく異なります。
台湾では旅行会社と直接取引できるケースもありますが
他国ではランドオペレーターとの関係構築が重要になる場合もあります。
海外営業を進める際は、「誰が販売しているのか」だけではなく、
「誰が実際に宿を手配しているのか」まで理解することが重要です。
そうすることで、自館がどこと関係を築くべきなのかも見えやすくなります。
【海外営業への挑戦/知識編:まとめ】 自館に合う旅行会社を見つけることが重要
ここまで見てきたように、台湾には多くの旅行会社が存在し、それぞれ顧客層や得意分野も異なります。
だからこそ重要になるのが、「自館に合う旅行会社を見つけること」です。
実際に海外営業では、「どこへ営業するか」という発想になりがちです。
しかし、本当に重要なのは、「自館はどのようなお客様に選ばれる宿なのか」を理解することです。
温泉が強みなのか。料理が強みなのか。地域体験が強みなのか。
高価格帯なのか。ファミリー向けなのか。
まずは自館の特徴を整理することから始まります。
その上で、その魅力を求める顧客を持つ旅行会社を探していく。
これが海外営業の基本的な考え方です。
実際に尾崎が現地で訪問した旅行会社でも、それぞれ求める宿泊施設像は異なっていました。
だからこそ、闇雲に営業するのではなく、自館と相性の良いパートナーを見つける視点が重要になります。
海外営業の第一歩は、旅行会社を探すことではありません。
自館の強みを理解し、その強みを必要とする旅行会社を探すことから始まるのです。
【海外営業の可能性】地方旅館や小規模宿にもチャンスがある理由
前章では、海外営業を進める上で知っておきたい旅行会社との付き合い方についてご紹介しました。
旅行会社ごとに顧客層や得意分野は異なり、
自館に合ったパートナーを見つけることが重要であることがお分かりいただけたかと思います。
では実際に、どのような宿泊施設に海外営業の可能性があるのでしょうか。
海外営業というと、「大型ホテル向けの話ではないか」「有名旅館でなければ難しいのではないか」
というイメージを持たれることがあります。
しかし、現地調査を進める中で私たちが感じたのは、海外営業は一部の大型施設だけのものではなく
地方旅館や小規模施設にとっても挑戦する価値のある市場だということです。
その背景には、旅行会社との意見交換や現地調査を通じて見えてきた様々な気付きがあります。
ここからは、宿力が現地調査や旅行会社との意見交換を通じて感じた
「海外営業の可能性」について整理していきます。
【海外営業への挑戦/考察編】海外営業はすべての宿に向いているわけではない
まず、前提として海外営業はすべての宿泊施設が取り組むべきものではありません。
海外からの送客が見込めるからといって、どの施設でも成果が出るわけではありませんし
受入体制が整っていなければ継続的な取引にもつながりません。
実際に旅行会社との取引が始まると、
「食事内容の調整・アレルギー対応・チェックイン時間の変更
団体受入時のオペレーション」など、通常の個人予約とは異なる対応が求められることがあります。
また旅行会社側も、「どの宿でも良い」のではなく、
「安心してお客様を紹介できる宿」を探しています。
そのため重要なのは、海外営業を始めることではなく
「自館がどのようなお客様に向いているのか。どのような受入が可能なのか」を整理することです。
海外営業には確かに可能性があります。
しかし、やみくもに取り組むのではなく、自館との相性を見極めることが重要だと感じました。
【海外営業への挑戦/考察編】ホテルと旅館では考えるべきポイントが異なる
今回のウェビナーの中でも印象的だったのが、ホテルと旅館では海外営業を考える際の視点が異なるという話です。
例えば、ホテルの場合はレベニューマネジメントの考え方が非常に重要になります。
団体を受け入れることで販売在庫が埋まった場合、その販売が本当に利益最大化につながるのか。
「個人販売とのバランスはどうか」「繁忙期と閑散期で考え方を変えるべきではないか」
こうした判断が必要になります。
一方で、旅館の場合は次のような料理対応が大きなテーマになります。
- 「食事内容の変更」
- 「アレルギー対応」
- 「宗教上の制限への対応」
- 「団体受入時の配膳やオペレーション」
こうした部分に柔軟に対応できるかどうかが重要になります。
つまり、ホテルは「レベニューマネジメントの判断ができる人がいるか」
旅館は「料理・受入対応に柔軟に対応できるか」といった点が重要な検討ポイントになるということです。
海外営業を成功させるためには、市場を知るだけでなく、自館の運営体制を見直す視点も必要になります。
【海外営業への挑戦/考察編】地方旅館や小規模施設にも十分な可能性がある
今回の現地調査や旅行会社との意見交換を通じて感じたのは
条件が合えば地方旅館や小規模施設にも十分な可能性があるということでした。
海外営業というと、大型ホテルや有名旅館が有利というイメージがあります。
しかし実際には、旅行会社も様々なお客様を抱えており、求められる宿泊施設も一様ではありません。
例えば
「温泉を楽しみたいお客様」
「地域ならではの食事を楽しみたいお客様」
「大規模ホテルではなく、落ち着いた旅館に泊まりたいお客様」
こうした需要も確実に存在しています。重要なのは施設規模ではありません。
自館の魅力と旅行会社が持つ顧客ニーズが一致しているかどうかです。
実際に現地で話をしていても
「有名だから選ばれる」よりも、「お客様に提案しやすい特徴があるか」を重視している場面が多く見られました。
だからこそ、「うちは小さいから無理」「知名度がないから難しい」と最初から諦める必要はありません。
自館の強みを理解し、その強みを求める旅行会社と出会うことができれば
海外営業は十分に挑戦する価値のある選択肢になると私たちは感じています。

海外営業だけでなく、国内旅行会社との付き合い方も宿泊施設の販売戦略では重要なテーマです。
リアルエージェントを取り巻く環境や、現在の旅行会社との関係づくりについては、こちらの記事でも詳しく解説しています。
あわせて読みたい
リアルエージェントの役割はどう変わった?宿泊施設が押さえるべき団体需要と最適な活用方法
【海外営業の商品造成】旅行会社が重視する「エリア需要」の考え方
ここまで、海外営業の可能性や旅行会社との付き合い方について整理してきました。
実際に海外営業を進める際、多くの宿泊施設は「自館をどう売り込むか」という視点で考えます。
もちろんそれも重要です。
しかし、今回のウェビナーでは旅行会社の視点で考えると
まず見ているのは宿泊施設単体ではなく「エリア」であるという話がありました。
どれだけ魅力的な宿であっても、その地域に旅行需要がなければツアー商品は作りづらくなります。
逆に地域全体に旅行需要があれば、その中で宿泊施設が選ばれる可能性も高まります。
ここからは、旅行会社がどのような考え方で旅行商品を造成しているのかを見ながら
宿泊施設側が知っておきたい「エリア需要」の考え方について整理していきます。
【海外営業への挑戦/商品造成編】旅行会社は宿ではなく「エリア」を見ている
宿泊施設側は「温泉・料理・客室・サービス」といった自館の魅力を中心に考えます。
しかし旅行会社が商品を造成する際に最初に考えるのは
「その地域に需要があるか」という点です。
例えば、次のような要素を総合的に見ながら旅行商品を作っていきます。
- その地域へ行きたい理由があるか。
- 観光地として認知されているか。
- 他の観光地と組み合わせやすいか。
- 移動しやすいか。
つまり旅行会社にとっては、「良い宿があるからツアーを作る」のではなく
「行きたいエリアがあるから、その中で宿を選ぶ」という考え方になります。
海外営業を考える際は、自館の魅力だけでなく「なぜこの地域へ行く価値があるのか」まで
説明できることが重要になります。
【海外営業への挑戦/商品造成編】銀山温泉の事例から見る旅行需要の作られ方
ウェビナーの中では日本の山形県の事例も紹介されました。
山形県には魅力的な旅館やホテルが数多くあります。
しかし旅行会社が商品を作る際は、宿泊施設だけを見ているわけではありません。
例えば「銀山温泉・蔵王・山寺」
こうした観光資源と組み合わせながら旅行商品を造成しています。
旅行者は「この宿に泊まりたい」だけで旅行を決めるわけではありません。
「山形へ行きたい」という需要があり、その結果として宿泊施設が選ばれます。
つまり宿泊施設側も、自館の魅力だけではなく
地域の魅力や観光素材を理解しておくことが重要になります。
旅行会社へ営業する際も、「宿の説明」だけではなく
「地域の魅力」まで伝えられる宿の方が提案しやすい存在になります。
【商品造成の視点】直行便の有無が海外ツアー造成に大きく影響する
商品造成でもう一つ重要な要素なのがアクセスの利便性です。
海外営業では、宿泊施設側が思っている以上に航空路線の影響を受けます。
例えば台湾市場の場合、次のような条件で旅行商品の作りやすさが大きく変わります。
- どの空港へ直行便があるのか。
- どれくらいの便数があるのか。
- 空港から現地までどの程度の時間がかかるのか。
こうした条件によって旅行商品の作りやすさは大きく変わります。
どれだけ魅力的な宿であっても
「移動が複雑すぎる」「時間がかかりすぎて、他の観光地と組み合わせづらい」
という場合は、旅行会社も商品化しにくくなります。
逆に、「直行便がある」「アクセスルートが分かりやすい」
「送迎や交通提案ができる」という施設は旅行会社にとっても提案しやすくなります。
海外営業を考える際は、「宿の魅力」だけではなく
「海外のお客様がどうやって来るのか」という視点で自館を見直してみることも大切です。

海外営業は、宿泊施設の販売戦略の一つに過ぎません。
重要なのは、「海外営業をすること」ではなく
自館に合った販売チャネルを組み合わせ、最適な販売設計を行うことです。
過去の記事で、自社予約・OTA・旅行会社それぞれの役割についても詳しく解説しています。
あわせて読みたい
宿泊施設の自社予約強化とは?OTAとの役割の違いと販売設計の考え方
【海外営業の準備】宿泊施設が旅行会社との商談前に準備すべきこと
ここまで、旅行会社がどのような視点で旅行商品を造成しているのかをご紹介してきました。
では、実際に海外営業へ挑戦する場合、宿泊施設側はどのような準備をしておくべきなのでしょうか。
海外営業の世界では、「まず旅行会社へ営業しなければならない」と考えがちです。
しかし実際には、営業活動そのものよりも前に準備しておくべきことがあります。
せっかく旅行会社との商談機会があっても
自館の魅力や受入条件を整理できていなければ、その後の送客にはつながりません。
ここからは、ウェビナーの中で紹介された内容をもとに
旅行会社との商談前に準備しておきたいポイントについて整理していきます。
【海外営業への挑戦/営業準備編】まずは旅行会社との接点を作る
海外営業の第一歩は、旅行会社との接点を作ることです。
旅行会社との取引と聞くと難しく感じるかもしれませんが
実際には、次の例のように様々な方法があります。
- 商談会へ参加する。
- 自治体や観光協会が実施する海外向け事業へ参加する。
- 現地の旅行会社を訪問する。
こうした機会を活用しながら、まずは自館を知ってもらうことが重要です。
今回の台湾訪問でも感じたように、旅行会社側も新しい宿泊施設との出会いを求めています。
重要なのは、最初から契約や送客を求めることではありません。
「まずは関係を作ること。」「自館と相性の良い旅行会社を見つけること。」が海外営業のスタートになります。
【海外営業への挑戦/営業準備編】宿の魅力を伝える資料を準備する
旅行会社との商談で欠かせないのが宿泊施設の紹介資料です。
ホームページがあるから大丈夫と思われるかもしれませんが
旅行会社は、お客様へ宿泊施設を紹介する立場です。
そのため、次のように宿の情報が分かりやすく整理されていることが重要になってきます。
- どのような宿なのか。
- どのような客室があるのか。
- どのような食事を提供しているのか。
- どのようなお客様に向いているのか。
こうした情報が分かりやすく整理されていることが重要になります。
旅行会社にとって重要なのは、「宿のことを理解できること」だけではありません。
「お客様へ説明しやすいこと」も同じくらい重要です。
旅行会社が提案しやすい資料(パンフレットなど)を準備しておくことで
商談後の送客にもつながりやすくなります。

【海外営業への挑戦/営業準備編】できること・できないことを明確に伝える

旅行会社との取引では、柔軟な対応が求められる場面もあります。
例えば、「食事内容の変更・アレルギー対応・送迎対応・チェックイン時間の調整」
こうした相談が入ることもあります。
もちろん、すべてに対応する必要はありません。
むしろ重要なのは
「対応できること」「対応できないこと」を事前に整理し、旅行会社へ正しく伝えることです。
旅行会社としても、事前に条件が分かっていれば安心して提案できます。
逆に、受入後に「実は対応できなかった」となる方が大きなトラブルにつながります。
海外営業では、良いことばかりを伝えるのではなく
受入条件を正確に共有することも重要な営業活動の一つと言えるでしょう。
【海外営業への挑戦/営業準備編】海外のお客様が気にするポイントを理解しておく
最後に重要なのが、海外のお客様の視点を理解することです。
日本人にとっては当たり前だと思っている設備やサービスが
海外のお客様にとっては不安要素になることがあります。
ウェビナーの中でも、台湾市場では客室設備に対する考え方の違いについて話がありました。
例えば客室の浴室やトイレの仕様など、日本人が気にならない部分でも旅行会社から確認を受けることがあります。
そのため、「どのような設備があるのか。」「どのようなお客様に向いているのか。」
こうした情報も整理しておくことが大切です。
海外営業は、海外のお客様へ直接営業するわけではありません。
旅行会社が安心して提案できる状態を作ることが重要です。
そのためにも、一度海外のお客様の視点で自館を見直してみることをおすすめします。
【まとめ】宿泊施設の海外営業は「自館に合う市場」を見つけることから始まる
海外営業は、「大手ホテルや有名旅館が取り組むもの」「特別なノウハウや人脈が必要なもの」という
イメージを持たれることがあります。
しかし今回、尾崎による台湾現地調査や旅行会社との意見交換を通じて見えてきたのは
海外営業は決して一部の施設だけのものではないということでした。
もちろん、すべての宿泊施設に向いているわけではありません。
受入体制や販売方針、自館の強みとの相性を見極めることは必要です。
また、ホテルであればレベニューマネジメント
旅館であれば料理対応や受入オペレーションなど、事前に整理しておくべき課題もあります。
一方で、旅行会社が求めているのは有名施設だけではありません。
地域ならではの魅力を持つ宿や、特徴が明確な宿にも十分な可能性があります。
重要なのは、「海外営業をやるべきか」ではなく、「自館に合う市場や旅行会社が存在するのか」という視点です。
そのためには、まず旅行会社の仕組みを理解し、自館の強みを整理し、受入体制を確認することが大切になります。
そして、宿単体ではなく地域全体の魅力やアクセス環境も含めて考えることで
旅行会社にとって提案しやすい宿へと近づいていきます。
海外営業は、一度の商談で成果が出るものではありません。
だからこそ、焦って営業を始めるのではなく
自館の特徴を理解し、自館に合ったパートナーを探していくことが重要です。
今回の記事が、「海外営業は自館にも可能性があるかもしれない」と考えるきっかけになれば幸いです。
宿力では、今後もウェビナーや現地調査を通じて、宿泊施設の皆さまに役立つ情報を発信してまいります。