
宿泊施設の売上や利益を最大化するためには、レベニューマネジメント(収益管理)の考え方が欠かせません。
その基礎として、まずは 用語の理解 が重要です。
例えば、RevPAR(1室あたり売上)やADR(平均客室単価) などの指標を正しく理解することで、
- 客室の稼働状況
- 販売戦略の成果
- 収益構造の分析
がより正確にできるようになります。
用語集では、初心者でもわかりやすいように 基本指標・需要・供給・料金戦略・予測戦略・実務でよく出る用語 を整理しています。
ぜひ記事をご覧いただき、日々の運営や戦略立案にお役立てください。
1.レベニューマネジメントとは?
ホテルや旅館が限られた客室数を最大限に活かして、売上や利益を高めるための「収益管理」の仕組みのこと。
「いつ、どの部屋を、どのお客様に、いくらで販売するか」を考える手法で、航空業界から宿泊業に広まった考え方です。
2.基本指標(宿泊業のKPI)
ADR(Average Daily Rate / 平均客室単価)
販売した客室1室あたりの平均単価。
例:売上100万円 ÷ 50室販売 = ADR 20,000円
RevPAR(Revenue per Available Room / 客室稼働可能数あたり売上)
売上 ÷ 全客室数。
=ADR × 稼働率。最も重視される収益指標。
Occupancy(稼働率)
販売客室数 ÷ 総客室数。
DOR(Double Occupancy Ratio / ダブルオキュパンシーレシオ・同伴係数)
1室あたりの平均利用人数を表す指標。
= 宿泊延べ人数 ÷ 宿泊延べ室数。
例:100名泊 ÷ 50室泊 = DOR 2.0
👉 ファミリーやカップル利用が多いか、ビジネス単身利用が多いかの傾向が分かる。
RevPAG / RevPAC(Revenue per Available Guest / 1人あたり売上)
宿泊延べ人数あたりの売上。
例:売上100万円 ÷ 宿泊延べ人数200人泊 = RevPAG 5,000円
👉 人数ベースでの単価を把握でき、DORと組み合わせて分析することで収益の質が見える。
現場では客単価または客単(きゃくたん)と略して呼ばれることもある。
TRevPAR(Total Revenue per Available Room / トータルレブパー)
宿泊売上だけでなく、レストランや宴会、スパなど館内全ての売上を含めた「1室あたり売上」。
高級旅館やリゾートホテルでは特に重視される。
3. 需要・供給に関する用語
Room Nights(ルームナイト)
延べ宿泊室数(部屋 × 泊数)。
Guest Nights(ゲストナイト)
延べ宿泊人数(人数 × 泊数)。
Pick-up(ピックアップ)
ある日付に対して予約がどれだけ積み上がっているか。
Booking Pace/Booking Cave(ブッキングペース/ブッキングカーブ)
予約のスピード。何日前から埋まっていくかを測る。
Lead Time(リードタイム)
予約日から宿泊日までの日数。
4. 料金戦略に関する用語
BAR(Best Available Rate)
その時点でのベスト料金。料金の基準になる。
現場ではBAR(バー)をどうしますか?という表現が多い。
LOS(Length of Stay)
宿泊日数。最小宿泊数制限などで売上を最大化する。
Overbooking(オーバーブッキング)
キャンセルやNo-showを見越して客室数以上に予約を受けること。
現場ではOB(オービー)と言うことが多い。
Displacement(ディスプレイスメント)
ある予約(例:団体や長期滞在)を受けることで他の予約を断る必要がある損失。
5. 予測・戦略に関する用語
Forecasting(フォーキャスティング)
需要予測。稼働率・売上を見積もる。
現場ではForecast(フォーキャスト)はどうなってる?と使う事が多い。
Segmentation(セグメンテーション)
顧客をOTA、直販、法人などに分けて管理する。
現場ではSegment(セグメント)はどうなってる?と使う事が多い。
またホテルマーケティングの場面でも多様する用語になる。
「各セグメントごとのデータを出しましょう」となるとOTAや直販ごとにADRなどを算出する。
Distribution Channel(ディストリビューションチャネル)
販売経路。OTA、自社HP、旅行代理店など。
現場ではChannel(チャネル)で略されて運用されることが多い。
Rate Parity(レートパリティ)
料金の一貫性。どの販売経路でも同じ料金を提示すること。
現場ではParity(パリティ)と表現されることが多い。
「●●の日付のパリティをとってください」はその日付の販売料金を全てのチャネルで同じにすることを指す。
6. その他(実務でよく出る用語)
House Use(ハウスユース)
ホテル・旅館が自社の内部利用として部屋を使用すること。
例:スタッフの宿泊、関係者の宿泊、点検や撮影のための使用など。
👉 売上には直結しないが、在庫管理上は「客室を塞ぐ」ので稼働率計算に影響する。
※企業によって、まったくカウントしないことがあります。
Complimentary(コンプリメンタリ / 無料提供)
宿泊を無料で提供すること。
例:VIP招待、旅行会社やメディア関係者のファムトリップ、クレーム対応など。
👉 こちらも売上はないが「部屋が使われた」という意味では稼働率に影響するため、RM上は管理対象となる。
※企業によって、まったくカウントしないことがあります。
現場ではコンプ(CMP)と表現して使うことが多いです。
Inventory(インベントリー / 販売在庫)
販売できる部屋の在庫を指す。
投入在庫を表すことも多く、外資系のPMSなどではよく出てくる単語。
Run Of House(ランオブハウス / おまかせ部屋)
お部屋を指定しないで販売をする部屋タイプのことを指す。
現場では「おまかせ部屋」として使うことが多いです。
7. まとめ:まず押さえるべきは基本指標
レベニューマネジメントの世界では専門用語が多く登場しますが、
まずは ADR・RevPAR・稼働率・DOR・RevPAG の5つを押さえることが第一歩。
これらを正しく理解し、自社の宿泊データを数字で把握することで、
「感覚ではなくデータに基づいた経営」ができるようになります。