
1. ダイナミックパッケージとは?航空券付き宿泊プランの基本
ダイナミックパッケージ(以下DP)とは、旅行者が航空券や宿泊施設、レンタカーなどを自由に組み合わせて予約できる“動的”なパッケージツアーのことです。JTBやHISなどの大手旅行会社だけでなく、楽天トラベルやじゃらんといったOTA(オンライン旅行会社)でも販売されています。
従来のパッケージツアーは、旅行会社が日程・宿泊施設・交通手段をあらかじめ決めてセット化していました。しかしDPでは、旅行者が出発日・泊数・利用施設・交通機関を自由に選べるため、「自分だけのパッケージツアー」を作れるのが最大の特徴です。

航空券付き宿泊商品と通常の宿泊商品との違いと仕組み
DPの大きな特徴は、検索タイミングによって価格が変動することです。これが「ダイナミック(動的)」と呼ばれる理由で、航空券の残席や宿泊在庫、販売タイミングによって料金が上下します。旅行会社が一括で価格を設定し「旅行商品」として責任を持つ形で販売される商品となります。
さらに、DPは旅行業法に基づく「募集型企画旅行」に該当します。これは、旅行会社が主催者として企画・設定した旅行商品を不特定多数に販売する仕組みで、宿泊や航空は「旅行商品の構成パーツ」に過ぎません。そのため、宿泊費や航空券の内訳は利用者や施設には開示されないのが基本です。
なぜ料金が見えづらいのか?パッケージ化の背景
ANAの公式サイトでは、DPは「国内募集型企画旅行」に該当すると明記されています。これは旅行業法に基づく契約形態で、旅行会社が主催者として企画・設定した旅行商品を不特定多数の旅行者に販売する仕組みです。
この場合、宿泊や航空などの各要素は“旅行商品の構成パーツ”のひとつに過ぎず、販売価格は旅行会社が包括的に設定します。そのため、宿泊費や交通費の内訳は原則として利用者や施設には開示されません。この「料金の内訳が見えない」という構造が、宿泊施設や利用者の双方で疑問や混乱を生む要因となっています。

2.ベテラン予約担当者に聞く!現場での活用と注意点
ダイナミックパッケージのメリットとデメリット
ダイナミックパッケージ(航空券付き宿泊プラン)は、旅行者と宿泊施設の双方にとって大きなメリットがありますが、同時に注意すべきデメリットも存在します。ここでは、現場でよくある実態を踏まえて整理します。
利用者側のメリット
- コスト削減:航空券と宿泊を個別に手配するより安くなるケースが多い。多くのDP商品では「航空券+宿泊」セット割引が適用されます。
- 柔軟なスケジュール:交通機関の時間や宿泊日数を自由に選べるため、従来のパックツアーより自由度が高い。
- キャンセル規定が比較的柔軟:LCC航空券は通常キャンセル不可ですが、DPでは一定のキャンセル料で対応できる場合があります。
- 裏ワザ的な利用も可能:航空券だけ利用して宿泊は使わない、またはその逆といったケースも。ただし、これは宿泊施設側にとってオペレーション上の課題となることがあります。
宿泊施設側のメリット
- 新規顧客の獲得:販売チャネルが広がり、今まで接点のなかった顧客層にリーチ可能。
- 価格戦略の自由度:料金が利用者に直接見えないため、レートパリティやベストレート保証を気にせず柔軟な価格設定が可能。
- キャンセルリスクの低減:旅行会社の規定に基づきキャンセル料が支払われるため、宿泊代の取り逃しリスクが少ない。
デメリットと注意点
- 料金体系の不透明さ:宿泊代が非公開のため、顧客から「宿泊費はいくら?」と聞かれても答えにくい。
- 税金・領収書対応の複雑さ:宿泊税や入湯税の扱い、領収書発行ルールが旅行会社ごとに異なり、現場で混乱しやすい。
- ノーショウ問題:航空券だけ利用して宿泊しないケースでは、客室を確保したまま日付が過ぎるため、オペレーション負荷が発生。
十数年の予約業務の経験から言えるのは、DPを導入するなら「社内マニュアル整備」と「旅行会社ごとのルール把握」が必須ということです。特に、追加徴収NG・領収書発行ルール・宿泊税の扱いは現場トラブルの原因になりやすいので、事前に整理しておきましょう。

旅行会社ごとにダイナミックパッケージの料金が違う理由とは?
ダイナミックパッケージ(航空券付き宿泊プラン)は、同じ宿泊施設・同じ航空便を利用していても、旅行会社によって販売価格が異なることがあります。これは、旅行会社ごとの販売戦略やシステムの仕組みに起因します。
なぜ料金差が生まれるのか?
- 旅行会社ごとの価格設定権限
DPは「募集型企画旅行」に該当し、旅行会社が主催者として販売価格を決定します。そのため、宿泊施設や航空会社が直接価格をコントロールすることはできません。- システムや在庫管理の違い
各社のシステムによって、航空券や宿泊の仕入れ条件・在庫管理方法が異なり、結果として料金差が発生します。- 販売戦略の違い
ある会社は航空券部分で利益を取り、別の会社は宿泊部分で利益を取るなど、利益配分の考え方が異なるため、同一条件でも価格差が出ます。
料金差があることで実際にあったトラブル事例
過去には、旅行会社AとBで同じ宿泊施設・同じ航空便を利用しているにもかかわらず、販売価格に大きな差が出たケースがありました。
A社は「B社だけ宿泊料金を安く設定しているのでは?」と疑い、施設に何度も問い合わせ。
しかし、施設は全チャネルでレートパリティを守っており、宿泊料金の差は存在しませんでした。
最終的には、施設側がシステム画面を開示して誤解が解消されましたが、「販売価格の設定権限は旅行会社にある」という仕組みを理解していないと、こうした誤解やトラブルが起こりやすいのです。
現場でよくあるのは、「なぜこんなに価格差があるのか?」という問い合わせ対応に時間を取られること。
- 旅行会社ごとの契約条件を把握
- 社内でFAQを整備し、スタッフ全員が説明できる状態にする
あらかじめ準備しておくと電話問い合わせと契約書を探す時間も省けます。
追加徴収NGのルールとその意味|ダイナミックパッケージで注意すべき旅行業法のポイント
ダイナミックパッケージ(航空券付き宿泊プラン)では、「表示価格=販売価格」が原則です。
宿泊施設が独自に追加料金を徴収することは、旅行業法で禁止されています。これは、利用者保護を目的とした重要なルールです。
なぜ追加徴収が禁止されているのか?
- 旅行業法の規定
DPは「募集型企画旅行」に該当し、旅行会社が主催者として責任を負います。そのため、旅行代金は旅行会社が包括的に設定し、利用者に提示された金額が最終価格となります。- 利用者保護の観点
旅行者が「現地で追加料金を請求される」ことを防ぐため、法律で明確に禁止されています。
違反した場合のリスク
- クレームや返金トラブル
誤って追加徴収すると、旅行会社経由でクレームが入り、返金対応や信頼低下につながります。- 法的リスク
悪質と判断されれば、旅行業法違反として行政指導や契約解除の可能性もあります。
予約のポイントとしては「追加徴収NG」を現場スタッフ全員が理解しているかどうかがトラブル防止のカギです。
特に、宿泊税や入湯税の扱いと混同しやすいので必ずフロントで確認ができるマニュアルは作りましょう。

3.よくあるトラブルとその対応|宿泊税・領収書・認識ズレを防ぐには?
ダイナミックパッケージ(航空券付き宿泊プラン)は便利な仕組みですが、宿泊税や領収書の取り扱い、料金認識のズレなど、現場でトラブルが起きやすいポイントがあります。ここでは、特に注意すべき3つのケースと対応策を解説します。
宿泊税・入湯税はどう処理すべきか?
- 基本ルール
DPでは「旅行代金に含まれる部分」と「現地で徴収できる部分」が明確に区分されています。宿泊税や入湯税は、多くの場合、現地徴収が認められ、施設が直接お客様から受け取る形になります。- 注意点
旅行会社によって扱いが異なるため、事前に規約を確認し、金額や徴収方法を把握することが必須です。- 現場で混乱しやすい理由
ある会社は旅行代金に宿泊税を含める
別の会社は現地徴収を前提
→ この違いが、課税対象や金額設定で混乱を招きます。- 宿力のアドバイス
社内で統一的な指針を作成し、フロントスタッフ全員が同じ説明をできる状態にすることが重要です。
領収書の発行ルールと注意点
- 基本ルール
旅行代金は旅行会社が受領しているため、宿泊施設が発行できる領収書は「現地で受け取った金額(飲食代・入湯税など)」のみです。- よくあるトラブル
お客様から「宿泊費全額の領収書が欲しい」と求められるケース。これに応じると、旅行会社発行の領収書と二重発行になり、法的リスクやクレームにつながります。- 対応策
スタッフ全員が正しいルールを理解することと、説明テンプレートを用意し、丁寧に案内。
お客様との認識ズレが起きやすいポイント
DPでは、料金に何が含まれていて、何を現地で支払う必要があるのかが分かりにくいため、チェックイン時にトラブルが発生しやすいです。
- 「なぜ追加料金が必要なのか?」
- 「なぜ全額の領収書がもらえないのか?」
こうした疑問に備え、契約内容を事前に確認し、スタッフ全員が同じ説明をできる体制を整えることが鍵です。

4.ダイナミックパッケージとどう付き合うか|宿泊施設が押さえるべき運用ルールと対応フロー
ダイナミックパッケージ(航空券付き宿泊プラン)を取り扱う際、宿泊施設が最も注意すべきなのは契約条件の理解と現場対応の標準化です。ここでは、トラブルを防ぐために押さえておくべきポイントを解説します。
事前に確認すべき契約内容と運用ルール
旅行会社ごとに規約や契約条件は異なります。必ず確認すべき項目は以下の3つです
- 追加徴収の可否(旅行業法に基づき、基本はNG)
- 税金の扱い(宿泊税・入湯税が旅行代金に含まれるか、現地徴収か)
- 領収書発行ルール(旅行会社発行と施設発行の範囲)
特に追加徴収は誤解が生じやすく、独自判断で対応するとクレームや法的リスクにつながります。また、旅行者と直接やり取りしたくても、基本的には旅行会社を通すことがルールである点も押さえておきましょう。
フロント・予約担当者が知っておくべき対応フロー
現場での混乱を防ぐため、以下の流れを徹底しましょう:
- 予約時点で、DP経由かどうかを確認
- 不明点は必ず旅行会社に問い合わせて明確化
- チェックイン時に「料金に含まれるもの・含まれないもの」を丁寧に説明
このフローを守ることで、スタッフ間の判断のばらつきを防ぎ、安定した対応が可能になります。
トラブルを防ぐための社内共有とマニュアル整備
DP対応を特定のスタッフだけに任せると、属人化やミスの原因になります。
- 過去のトラブル事例や対応策をマニュアル化
- 全スタッフで共有し、定期的な勉強会を実施
- 旅行会社ごとのルールを一覧化した資料を作成
宿力の支援実績では、「DP対応マニュアル+定期研修」導入後、現場トラブルが70%以上減少した事例もあります。
5.まとめ:ダイナミックパッケージを正しく理解し、安心対応を実現する
ダイナミックパッケージ(航空券付き宿泊プラン)は、宿泊施設にとって新しい顧客層を獲得できる有効な販売手段であり、旅行者にとっても利便性の高い商品です。しかし、仕組みや旅行業法を正しく理解していないと、宿泊税や領収書発行などの細かな点でトラブルが発生します。
だからこそ、
- 契約内容やルールを正しく把握
- 社内での情報共有とマニュアル整備を徹底
- スタッフ全員が同じ説明をできる体制を構築
これらを実行することが不可欠です。
スタッフ一人ひとりが正しい知識を持ち、自信を持って対応できるようになれば、お客様に安心感を提供し、施設の信頼度も向上します。結果的に、トラブルを防ぎながら円滑な運営が実現し、ダイナミックパッケージを「強力な味方」に変えることができます。
宿力では、300施設以上の支援実績をもとに、DP対応マニュアルや現場研修のサポートも行っています。
「自社に合った運用ルールを整えたい」「スタッフ教育を強化したい」という方は、ぜひご相談ください。
現場で役立つTIPS|予約通知でダイナミックパッケージを見抜く

ダイナミックパッケージ(DP)かどうかを予約通知で瞬時に判断できると、チェックイン時のトラブル防止につながります。しかし、OTA経由の予約通知では、一見するとDPかどうか判断できないケースがあります。特にPMSと連携している場合、通知項目が省略されることもあり、見落としやすいのが現実です。
ここでは、DP予約が多い「楽天トラベル」と「じゃらん」を例に、実際の予約帳票を使って見分け方のポイントを解説します。
楽天トラベルのパッケージ予約通知(TLリンカーンの場合)

- 判断ポイント
予約番号が「WS」から始まる場合 → DP確定
航空会社を確認したい場合 → 「取扱個所」欄でANA/JALをチェック - 注意点
PMS経由では「取扱個所」が表示されない場合あり
メーカーによっては通知自体が省略されるケースもあるので要確認
じゃらんのパッケージ予約通知(TLリンカーンの場合)

- 判断ポイント
予約番号が「8」から始まる場合 → DPの可能性あり
ただし、じゃらんGTSなどインバウンド提携予約も「8」から始まるため注意
プラン名称に「PKG#」が含まれていればDP確定
航空会社は「取扱個所」欄で確認可能 - 注意点
予約番号だけで判断せず、必ずプラン名称も確認すること
こちらを知ってマニュアル化しておくとトラブル対応や予約処理の速度があがるのでお役立てください。